連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第34回  夏のあしらい  〜涼しげな緑をアレンジ〜

タバリアファン、ミスカンサス、リキュウソウ等を活けた、グリーンプラスグリーンのコーディネイト

タバリアファン、ミスカンサス、リキュウソウ等を活けた、グリーンプラスグリーンのコーディネイト

お花屋さんでは、葉もののことをグリーンと呼んでいます。いつもは花の引き立て役、脇役のグリーンですが、花もちのあまりよくない暑い夏こそグリーンを主役に使って、涼やかなアレンジメントをお部屋に飾ってみてはいかがでしょうか。豊富な種類と色に加え、花器との組み合わせによってバリエーションは広がります。今回は、夏のグリーンあしらいをご紹介します。

夏のグリーンで一番のお勧めは、南国からやって来たグリーンです。大型の葉、モンステラ、タニワタリ、アンスリウムの葉は、つややかな葉色と個性的な形で、1枚だけで飾っても絵になる存在感のあるグリーンです。背の高い大型の花器に1枚だけぽんっと活けたり、大きめのガラス花器の内側に巻いても素敵です。あっという間に簡単アジアン風アレンジメントの完成です。家にいながら、まるでバリのリゾートを訪れたような気分を味わえますね。そして、カラーバリエーションが豊富なドラセナも人気です。グリーンに白のラインが入ったもの、鮮やかな赤いラインが入ったもの、コーヒー色、着色したように艶やかな黒色のもの。個性的な色を持つグリーンは、アレンジの中でアクセントや効果的な挿し色として使われます。

もっと、やさしい雰囲気のアレンジにしたい時は、アイビー、リキュウソウ、ジャスミンなどのツル状のグリーンや、アジアンタム、タバリアファンなどのふわっとしたグリーンがお勧めです。どれも小さめのサイズなので普段は花の引き立て役ですが、主役で使う場合は思いきってたくさん使ってみましょう。アンティークのピッチャーにミントやゼラニウムと合わせてアイビーをたくさん垂らしたり、アジアンテイストの花器にカールさせたミスカンサスとタバリアファンをアレンジしたりと、グリーンプラスグリーンのコーディネイトで立派なアレンジメントが完成します。

今年の夏は、ぜひお部屋のインテリアに合わせて、グリーンコーディネイトを楽しんでみて下さい。今まで気が付かなかった、新しいグリーンの魅力を発見できるでしょう。


 コラムニスト紹介

日比谷花壇 本社 シニアデザイナー 西澤真実子
フラワーギフトの制作に長期間携わり、ギフトシーンにおける多くのフラワーデザインを 経験。現在は、ギフト商品の部門で商品デザインのコアを担い、トップデザイナーのひと りに数えられている。シンプルかつ花材の繊細な色合いにこだわったデザインを得意とし、 女性的で透明感のある作風が特長。独特のロマンティックな演出が、多くのファンを魅了 してやまない。また最近では、書籍の表紙デザインやCDジャケットのフラワーデザインを 手掛けるなど、多岐にわたる分野で活動を続けている。