連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

バックナンバー

 第57回  コーディネート 〜コンセプトを決め、演出〜  

コーディネート 〜コンセプトを決め、演出〜

「モーヴピンク」で表現する上品で上質な大人ウエディングの        コーディネート

結婚式のお部屋を飾る存在として親しみ深いフラワーアレンジメント。花と人間のかかわりの歴史は古く、紀元前3000年頃のエジプトでは、すでに花を装飾品として使い、その後ローマ帝国時代に入って庶民の家庭にも花が飾られるようになったと言われています。また西洋では食卓に、日本では床の間に飾るお花を原点としてその歴史を刻んできました。

結婚式のゲストテーブルの中央にセッティングされるフラワーアレンジメントは、今やなくてはならないものとして、人々の中に根付いているのではないでしょうか。

それだけにとどまらず、新郎様・新婦様のテーブル、ウエディングケーキの周り、受付などにもお花を飾ることがスタンダードになっています。ただそれが時代と共に、いわゆる「華やかなお花をたくさん飾る」と言うだけのものではなくなってきたことがとても興味深い点です。

と言いますのは、これまで「フラワーアレンジメント」と言う単体で捉えられてきたものが、最近では全体の空間を作る一つの要素として考えられ、位置付けられるようになりました。「フラワーコーディネート」と呼ばれ、その名にも変化が現れています。

テーブル上には、お花やクロスやナプキン、プレート、カトラリーなどをはじめ、様々なパーツによって構成されています。その一つ一つのバランスや組み合わせを考え、より素敵な空間を生み出すのがコーディネートです。奥深く、どこまでも新しい可能性を秘めているコーディネートはこれからも進化を遂げることでしょう。

そんなコーディネートでポイントとなるのは「コンセプト」です。どのような空間に 仕上げたいか、お招きしたゲストの方々にどのように楽しんでもらいたいか、そんな想いを二人で考え決めることが何より大切な、結婚式の準備の第一歩。コンセプトを基に色々なアイテムを選んでいくと、全体的にとてもまとまりを感じる空間になります。

お二人らしい、お二人ならではのコーディネートが何よりも魅力的であり、ゲストの方々への心伝わるおもてなしではないでしょうか。


 コラムニスト紹介

杉本郁弥
日比谷花壇 ウエディングフラワーコーディネーター 食空間コーディネーター
都内ホテルにて、ウェディングブーケのデザイン・空間装飾&テーブルコーディネートを担当。また、ホテル婚礼パンフレットの制作に携わる。10年間で1,000組を超えるお客様のウェディングフラワーをコーディネートする。