連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第17回  胡蝶蘭〜花が終わった後も上手に管理〜  

様々な種類がある胡蝶蘭’

様々な種類がある胡蝶蘭

ランの女王と呼ぶに相応しい風格を備えた胡蝶蘭は、多くの人の心を捉える存在です。胡蝶蘭の花言葉「幸せが飛んでくる」から開店祝いや新築祝いなどに、あるいは「あなたを愛しています」というもう1つの花言葉から大切な方への真心こもったギフトに、また時には故人を偲ぶ気持ちを代弁しご遺族へのお悔やみの心を伝える花として、今も昔も変わらない人気を誇っています。花色には最も人気の白以外に、ピンク・イエロー・グリーン・パープル系などがありますので、受け取る相手の方のお好みや喜んで下さる笑顔をイメージしながら、いろいろな種類の胡蝶蘭を見比べて選ぶのもとても楽しいものです。

さて、胡蝶蘭と言えばその高価な値段に驚きます。なぜそんなに高価なのでしょうか。実は胡蝶蘭は一般的に、発芽から出荷まで4年はかかる植物なのだそうです。育成中の間も、病害虫の被害などで不良品になってしまうものも大変多いのだとか。プロの園芸家でさえ苦労に苦労を重ね育て上げるという話に、高価な花である理由をうかがい知ることができます。

そんな高価な胡蝶蘭も、花が終わった後も上手に管理することで、再び花を咲かせる事が出来ます。
管理のポイントは、水遣りと置き場です。水は、表土が完全に乾いてからたっぷりと与え、冷たい水は避けましょう。レースカーテン越しの明るい暖かい窓辺で程よい通風がある場所に置くとよいでしょう。そして根を痛めないことも重要なポイントです。植替えは2〜3年に一回で充分です。花屋さんで購入するような胡蝶蘭の多くは何株かが寄せ植えされていますので、花を楽しんだ後は、できれば鉢から出して一株ずつ素焼き鉢に植え替えて管理すると、より良い環境で育てることができます。これからのシーズンは夜間の寒さで根を傷めないように管理しましょう。

以前雑誌で見て心惹かれた風景ですが、欧米の一般家庭のベッドルームでブリキのバケツに白い胡蝶蘭が一株、窓辺近くの棚の上に無造作に置かれた写真がありました。胡蝶蘭を育てながら、こんな風にさりげなく生活に取り入れることも素敵ですね。

 コラムニスト紹介

篠原信子
日比谷花壇  日比谷公園店  フラワーコンシェルジュ
約20年にわたり、日比谷花壇の店舗でフラワーコーディネーターとして活躍。 様々な花や緑の魅力を熟知し、お客様が求める商品を案内するとともに、花に託して贈るお客様の“気持ち”や“ご意向”をくみ取り、最適な提案を行う、花のコンシェルジュ。 花がもたらす喜びや感動をお客様と共有し、花を贈る人、贈られる人に期待以上の満足を得ていただきたいと、「ヒビヤカダン 日比谷公園店」でお客様をお迎えしている。