連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第37回  お盆にお供えするお花 〜白を基調に、心を込めて〜

キクやランを使った白を基調にしたお供え花

キクやランを使った白を基調にしたお供え花

「お盆」は先祖の霊を迎えて供養する、日本人にとって大切な夏に行なわれる行事で、15日を中心として、東京など都市部では7月13日から16日の4日間、その他の地方では8月13日から16日に行なわれています。正式には梵語(サンスクリット語)で「盂蘭盆会」(うらぼんえ)と言います。「お盆」の風習は日本社会の古くからの習わしとして正月と並ぶ国民的行事で、推古天皇の時代である606年に宮中で初めてお盆の行事が行なわれたという記録が残っています。その後、江戸時代に入ると民間の行事として盛んになり、「盆礼」といって親族や知人の家を訪ねて進物の贈答をすることが行なわれるようになったことが、今日の「お中元」に繋がっています。

ご先祖様をお迎えする際やお墓参りに行くときのお供え物として、お花は欠かせないもののひとつです。そこで、いくつかお盆に活けるお勧めのお花をご紹介しましょう。

《ハス》蓮の花は仏教に密接な関係があり、インド・スリランカの国花でもあり、仏教の中で最も格上の花とされています。極楽浄土に生える花とされ、紀元前2〜3世紀には仏像が蓮をかたどった台座(蓮華座)に乗せられるようになりました。泥の中に生まれても、汚れなく清らかに咲く「清浄無比の花」と尊ばれお盆に欠かせない花となっています。
《ほおずき》漢字では「鬼灯」と書き、ご先祖様をお迎えする際に精霊は提灯の火を頼りに集まると言われ、その提灯に見たてて飾ってみましょう。
《キク》最近では大輪咲き、スプレー咲きなど種類も色も豊富にありお供え以外の用途でも使われるようになってきましたが、菊はやはり定番のひとつです。暑い夏でも花保ちがよいので美しい花を長い間お供えできます。

その他にはユリ、リンドウ、トルコキキョウ、ランなどもお勧めです。よく使われる花や色合いなど地域によってさまざまですが、新盆(初盆)に飾る花は白を基調にして淡い色でまとめるのが一般的です。

今年はフラワーショップでお盆用として組まれている花ではなく、一本ずつ自分で選んだお花で心をこめて活けてみてください。それが一番のご先祖様の供養になると思います。

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 コラムニスト紹介

渡辺 潤
日比谷花壇  日比谷公園店  フラワーコンシェルジュ
「常にお客様の立場に立って、楽しいお買い物のひとときをお手伝いすること」をモットーに、 長い店舗経験によって培われた豊富な知識と技術を持つ花のスペシャリスト。 とりわけカラーコーディネートを得意とし、大胆で斬新な色彩感覚は秀逸。 あらゆるご要望にお応えし、すべてのお客様に最高のサービスを提供する、 日比谷公園店専属の花のコンシェルジュ。