連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第48回  キリスト教式の葬儀  〜明るい色合いで祝福を〜

あまり華美にならなければ、故人の好きな花で

あまり華美にならなければ、故人の好きな花で

春の訪れがすぐそこまできています。花々も軽く明るい色合いのものが多く見受けられるようになりました。春の花は優しい色をしたものが多いですね。ビビットなものより淡いパステルカラーのような花色が春には良く似合う気がします。

最近では葬儀のシーンでも春の花のように明るい色合いのものが使われています。葬儀に利用される花は、花祭壇、供花、献花などがありますが、わが国ではこれらには従来、菊の花がよく利用されていました。

菊は日本の(慣習上の)国花であり、また墓参りなどのイメージとも結びつきやすいので葬儀にも利用されていると考えられがちですが、実はあまり関連性がありません。いつの季節でも手に入れやすく品質が安定しているため、葬儀のように大量に花を使用する際に適しているからということのようです。しかし、昨今では多種多様な花々が手に入りやすくなったため、従来のように菊をメインに使用しなくても済むようになったのです。また、葬儀をあげられる遺族の方々の意識の変化もあり、葬儀でも色鮮やかな季節の花を使用することが多くなりました。

色花を使った葬儀というと、キリスト教式の葬儀では明るい色の花がよく使われます。キリスト教の代表的な花といえば白ユリですが、バラや季節の花々も良く使われています。
元来、キリスト教では「死」を穢れとは捉えません。神の御許に召されることは祝福されるべきことと考えます。それゆえ葬儀自体も故人を偲ぶというよりは、天国へと迎え入れて下さった神に対して礼拝するという意味合いが強いようです。

そのような意味で行われる葬儀では、使用される花は、あまり華美にならなければよく、花の種類や色には特に制約はありません。故人の好きだった花や明るい色の花を飾るのもよいでしょう。ただ、やはり葬儀という儀式の中で使用する花ですから、それらは遺族や参列者の悲しみを少しでも和らげ、故人が神の御許に召されるのを祝福するような花々であるべきでしょう。

 コラムニスト紹介

鈴木健久
日比谷花壇 フューネラルプロデューサー
「人と人とのつながりや想いを形にしたい」と日比谷花壇の葬儀サービス「フラワリーフューネラル」に携わる。店頭でのフラワーコーディネートをはじめとして、法人営業や装飾事業など多岐にわたる経験を活かし、葬儀シーンで活躍。今までの葬儀には見られない斬新な祭壇デザインや店舗で培ったお客様へのおもてなしで、日比谷花壇ならではの新たな葬儀を提供している。