連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第50回  ウエディングブーケ  〜男性からのプロポーズが起源〜

バラやホワイトスターでデザインしたウエディングブーケ

バラやホワイトスターでデザインしたウエディングブーケ

待ち望んだ春の到来とともに、色とりどりの花が咲き誇る季節となりました。ウエディングでも、ユリやバラ、芍薬などの旬の花々が溢れる春のベストシーズンを迎えます。

ウエディングに欠かせないアイテムと言えば、ウエディングブーケが思い浮かぶと思います。ウエディングブーケの起源は、古く古代ヨーロッパに遡ります。

その昔、男性はプロポーズをするために、野の花を摘み、それを束ねて女性に贈りました。女性はその花束を受け取り、愛を受け入れる証として、花束の中から一輪の花を取って男性の胸に挿しました。これがウエディングブーケとブートニアの始まりと言われています。

ヨーロッパが起源のウエディングブーケですが、日本に広まったのはウエディングが洋風化し、皆がウエディングドレスを着はじめた1960年代頃からと言われています。それ以前の日本で行われていた披露宴は、夫婦の新居や実家などに親族を招き、お披露目として宴を催すというスタイルでした。1959年(昭和34年)の天皇陛下と皇后陛下のご成婚から、現代主流となっているホテルなどのパーティ会場での披露宴が広まったようです。

最近、ウエディングで人気のセレモニーの中に、ブーケとブーケニアのロマンティックな逸話を、式に取り入れた演出があります。これは、挙式や披露宴で新郎がゲストのみなさまから一輪ずつ花を集め、それをまとめて作ったブーケを新婦へプロポーズの言葉を添えて贈るというセレモニーです。新婦はブーケの中から一輪を抜き取り「Yes」の気持ちを込めて新郎の胸元に挿します。ゲストのみなさまも参加でき、あらためて愛を確かめ合える素敵な演出として人気です。

ウエディングブーケは、その日の花嫁を美しく引き立ててくれるアイテムです。そのルーツを知っていると、よりロマンティックで神聖な気持ちで当日を迎えることができるかも知れませんね。

今回ブーケの起源についてお話させていただきましたが、次回はウエディングブーケの種類についてご紹介します。

 コラムニスト紹介

杉本郁弥
日比谷花壇 ウエディングフラワーコーディネーター 食空間コーディネーター
都内ホテルにて、ウェディングブーケのデザイン・空間装飾&テーブルコーディネートを担当。また、ホテル婚礼パンフレットの制作に携わる。10年間で1,000組を超えるお客様のウェディングフラワーをコーディネートする。