連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第52回  和装婚  〜着物に合った髪型、小物を〜

マムやスカビオサなどでデザインした和装向けのボールブーケ

マムやスカビオサなどでデザインした和装向けのボールブーケ

洋式の結婚式が一般的になって久しいですが、昨今、和装婚がその美しさを見直され、人気を集めています。日本人として生まれたからには、日本ならではの伝統衣装で門出の日を迎えたい、というのはごく自然なことかも知れません。

和装婚にまつわる衣装には、ドレスと同じようにさまざまな種類があります。
代表的なものとして、武家社会の流れをくむ婚礼のための正礼装である白無垢、掛下の上に色鮮やかな打掛を羽織る色打掛、未婚の女性の第一礼装である振袖(裾を引きずるように着たものは引き振袖)などがあります。それぞれ挙式や披露宴での入場、お色直しなど、ご自分の希望や会場の雰囲気・演出などによって選ばれるとよいでしょう。

和装婚の装いのポイントとしては、着物に合わせるヘアスタイルや小物があります。
ヘアアレンジで王道なのは、日本髪の文金高島田です。そこに帯状の白い布を付ける角隠しや、白い布の袋をかぶる綿帽子を合わせるのが一般的です。
伝統的な日本髪は、格式や品が感じられて素敵ですが、最近では和装に洋髪を合わせるスタイルもとても人気です。洋髪スタイルのアレンジには、芍薬や牡丹・百合など大輪の花をあしらうと、ぐっとモダンな雰囲気になります。
また、着物を一段と引き立たせるアイテムとして、手元にたずさえる和装ブーケもおすすめです。着物の柄とブーケの花材を合わせてコーディネートしたり、個性の引き立つ一輪ブーケでモダンに装ったり、丸い形にお花をあしらったボールブーケを手元にたずさえたりすることで、和装が一層引き立ちます。

和装ならではの耳慣れない言葉や作法などもあって大変なのではないかと不安に思われる方もいらっしゃるかと思います。そこはあまり型にとらわれることなく、現代的な感覚やデザインを自分なりにどんどん取り入れ、自分らしいスタイルを楽しんでいただきたいと思います。


 コラムニスト紹介

杉本郁弥
日比谷花壇 ウエディングフラワーコーディネーター 食空間コーディネーター
都内ホテルにて、ウェディングブーケのデザイン・空間装飾&テーブルコーディネートを担当。また、ホテル婚礼パンフレットの制作に携わる。10年間で1,000組を超えるお客様のウェディングフラワーをコーディネートする。