連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第61回  アフターブーケ 〜技術の進歩で立体保存も〜  

誓いの詰まったウエディングブーケをインテリアとして。

誓いの詰まったウエディングブーケをインテリアとして。

大切な人達の笑顔と祝福、おいしいお料理、お気に入りのドレス、思いを込めたブーケやテーブルコーディネート…その全てが素敵な思い出となる結婚式。そんな特別な幸せの瞬間である結婚式を永遠に残したい、というご新郎様・ご新婦様の思いから、今日では様々な形でそのような思いを実現できるようになりました。写真やDVDなどが代表的なものですが、その中でも、今回はお花についてご紹介したいと思います。

結婚式の間、ずっと傍で見守り華やかさを演出してくれるウエディングブーケの由来は、ご新郎様からの求婚の証だとされています。大事なブーケの美しさをそのまま永遠に残すものがいわゆる「アフターブーケ」です。その意味から「エターナルブーケ」とも呼ばれています。

種類は様々ですが、以前はブーケで使用したお花を一つ一つプレスして押し花にし、繊細な絵画のように、ブーケの形を再現した額縁に入っているものが、主流でした。小さい頃、四つ葉のクローバーなどを本の間に挟んで押し花にした記憶などをお持ちの方も多いのではないでしょうか。とても自然で温かみのある仕上がりになります。見開きの写真立ての片側にブーケのお花で作った押し花を、もう片方にお二人の記念写真を飾るのも素敵ですよね。

また最近では技術の進歩に伴い、立体的に、より実際のブーケに近い形で、アフターブーケにすることも可能になりました。お花の一輪、一輪に特殊加工を施し、変色を防ぐため、お花を入れるボックスを真空にして、UVカットを取り入れることで、長期間の保存が可能になりました。

ボックスについてもバリエーションが豊富で木やガラス、色も様々です。お部屋の雰囲気に合わせてインテリアの一つとしても楽しめるのではないでしょうか。また一つのブーケから三つのアフターブーケをお作りし、一つはお二人で、他の二つはそれぞれのご両親にプレゼントされるのも素敵なアイディアでしょう。

もともと保存加工してあるお花をブーケの中に取り入れたり、シルバーやパール、ガラスなどで作られた装飾品などをブーケにあしらったり、結婚式の後はその思い出の品をブローチなどとして使用するのもおすすめです。

 コラムニスト紹介

杉本郁弥
日比谷花壇 ウエディングフラワーコーディネーター 食空間コーディネーター
都内ホテルにて、ウェディングブーケのデザイン・空間装飾&テーブルコーディネートを担当。また、ホテル婚礼パンフレットの制作に携わる。10年間で1,000組を超えるお客様のウェディングフラワーをコーディネートする。