季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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第81回 リンドウ 〜敬老の日の贈り物に〜

岩手県安代産のリンドウ「メルヘンアシロ」

岩手県安代産のリンドウ「メルヘンアシロ」

9月の第3月曜日(今年は9月17日)が、敬老の日です。1947年に兵庫県で行われた敬老行事をきっかけに、9月15日を「としよりの日」にしようという動きが広がり、その後呼び方を変更し、老人を敬愛し長寿を祝う日として、1966年国民の祝日の “敬老の日”へと発展しました。

敬老の日提唱のヒントは、父親思いの息子が酒の匂いのする水を見つけ、年老いた父に飲ませたところ若返ったという「養老の滝」の孝子伝説です。今も昔もお年寄りを思いやる心は普遍ということなのかもしれません。 

秋の代表的な花「リンドウ」は、毎年敬老の日の贈り物としてとても人気があります。でもなぜリンドウが敬老の日の贈り物として人気があるのでしょうか。これもまた、いくつか説があります。その1つは、昔から日本では高貴な人が身に付けるものとして紫は大切にされてきたから、という説です。

紫色のリンドウは、おじいちゃん、おばあちゃんの健康と長寿を願い敬老の日に贈る花としてふさわしいということなのです。そうは言っても最近ではリンドウの生花、鉢ものともに、紫だけではなくピンクや白、また淡いブルー、ストライプの入ったものなどがフラワーショップには並びます。           

日本国内で生産量が多く、品種交配などが盛んに行われているのは、岩手県の安代(アシロ)地区です。安代からは様々な園芸品種が生み出され、そのほとんどに「安代」の名前が付けられています。

リンドウは育てにくい花とも思われがちですが、咲いていた環境を考えて育てるのがどんな植物にもよいとされています。リンドウは元々日当たりのよい高原に咲いている花なので、日光がよく当たり、夏場は半木陰、冬場はなるべく寒さに当てましょう。そして乾燥はさせず、水遣りをたっぷりとしていけば、初霜が降りる頃まで元気に咲きます。また、多年草ですので、毎年株を大きくして楽しめます。

今年の敬老の日は、お気に入りのリンドウを持って、おじいちゃん、おばあちゃんを訪ねてみましょうか。

日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 谷 真由美

 コラムニスト紹介

谷 真由美
日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 谷 真由美
店頭販売での長年の経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗を統括する鉢物マーチャンダイジングディレクターとして活躍。花鉢や観葉植物の魅力を熟知し、お客様が求める、お客様に発見や感動を提供する商品展開を手掛ける。