季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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第95回 スズランの日 〜奥ゆかしい「君影草」〜

白く小さい鈴のような形の花を咲かせるスズラン

白く小さい鈴のような形の花を咲かせるスズラン

英語で「lily of the valley」、日本語では「君影草」の名を持つスズラン。桜が終わり、新緑が眩しい4月から5月頃に白く小さい鈴のような形の花を咲かせます。名前にランと付きますが、ラン科ではなくユリ科の多年草です。爽やかで透明感のある香りは、バラ、ジャスミンと並んで三大フローラルノートと呼ばれています。

フラワーショップの店頭に出回わるスズランは、ほとんどがヨーロッパ原産のドイツスズランですが、日本原産のスズランもあります。ドイツスズランは、葉と同じくらいの高さに花が咲くのに対して、ニホンスズランは、花が葉より下に、葉に隠れるようにして花を咲かせます。和名の「君影草」という名前も納得の奥ゆかしさです。

ヨーロッパでは、春を告げる花として人気の高い花です。5月1日を「jour des Muguets」(スズランの日)と呼び、大切な人にスズランの花束を贈る習慣は、日本でも知られるようになってきました。スズランの花束を贈られると、幸福が訪れると言われ、この日はフラワーショップだけでなく、森から摘んできてスズランを売る人が、街のあちこちで見られるそうです。幸福を願って花を贈り合うというのは、とても素敵な習慣ですね。日本人は古くから季節の移り変わりと共に、花を慈しんできました。梅や桜のひと枝、撫子の小さな花束を親しい人と贈り合う習慣があってもいいと思うのですが、残念ながらそういった習慣は思いあたりません。日本人は、大切な人と一緒に植物の自然のままの姿を愛でるほうが好きなのかもしれません。

スズランを飾る時は、なるべくシンプルに。ラフィアで束ねたり、アイビーなどの葉ものを加えたりしただけのアレンジのほうが、その可憐さ、清楚な姿が引き立ちます。花の白と葉のグリーンをきれいに見せるため、花器はガラスや白い陶器がお勧めです。スズランは全草が有毒であることは良く知られていますが、スズランをいけておいた水を誤飲して事故になったこともあるそうなので、小さいお子さんやペットのいるご家庭は注意して下さい。

日比谷花壇 シニアデザイナー 西澤真実子

 コラムニスト紹介

西澤 真実子
日比谷花壇 シニアデザイナー 西澤 真実子
ギフト商品デザインのコアを担うトップデザイナーのひとり。シンプルかつ花材の繊細な色合いにこだわったデザインを得意とする。また最近では、書籍やCDジャケット撮影の作品を手掛けるなど、活動の幅を広げている。