連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第18回  ダリア〜様々な花色・咲き方があるから、選ぶのも楽しい〜  

ダリア「黒蝶」を使った秋色のアレンジメントをテーブルに。

ダリア「黒蝶」を使った秋色のアレンジメントをテーブルに。

私が花屋さんで働くようになったばかりの頃、「ダリア」は小輪や中輪の地味な花で、使用目的といったら、大抵はお供え用の仏花といった場合がほとんどでした。それが近年は大輪花ブームとともに、品種改良によって様々な色・咲き方のダリアが誕生し、その品種は今では一万種以上なのだとか。

花びらが幾重にも重なったボリュームのある花姿によって醸し出す雰囲気は、お祝いの贈り物の花束やアレンジメントにとても合います。花言葉も「華麗」「優雅」「威厳」といったもので、これもダリアに相応しい花言葉だと思いませんか。

実は別の花言葉には、「移り気」というものもあります。かのナポレオン一世の妻ジョセフィーヌはダリアをこよなく愛し誰人も持ち出せないように栽培していたのだとか。しかし大切に育てたダリアを何者かに盗まれ、よその庭で見事に咲いたダリアの存在を知った彼女は、それ以来ダリアに興味を持たなくなった、という物語からきているそうです。こんな物語が生まれるのも、ダリアの持つ強烈な印象が多くの人を虜にするからこそなのではないでしょうか。

さて、様々な品種があるダリアの中でも人気が高いものに、赤系の花色の品種があげられます。その中でも黒色に近い深紅の花色の品種では「黒蝶」「ブラックキャット」などがあり、これらは華やかな中にも大人っぽい印象を持っています。また朱赤の「熱唱」などは鮮やかな色なので、どのような場所にも映える華やかな仕上がりに、ポンポン咲きの「熱球」ですと、キュートでユーモアある花姿に人気があります。

また、品種名も工夫を凝らしたネーミングが多いのも特徴です。ピンク系の「純愛」「ミッチャン」「オズの魔法使い」、白系の「雪輪」「雪国」「スノーボール」など、どれをとってもそれぞれのダリアに似合った名前が付いています。

赤・白・ピンク・黄・紫・複色など花色も豊富にあり、同じ色であっても様々な品種を持つダリアだからこそ、花を買うときは贈る相手の方をイメージしながらあれこれと選ぶと楽しいものです。

 コラムニスト紹介

篠原信子
日比谷花壇  日比谷公園店  フラワーコンシェルジュ
約20年にわたり、日比谷花壇の店舗でフラワーコーディネーターとして活躍。 様々な花や緑の魅力を熟知し、お客様が求める商品を案内するとともに、花に託して贈るお客様の“気持ち”や“ご意向”をくみ取り、最適な提案を行う、花のコンシェルジュ。 花がもたらす喜びや感動をお客様と共有し、花を贈る人、贈られる人に期待以上の満足を得ていただきたいと、「ヒビヤカダン 日比谷公園店」でお客様をお迎えしている。