季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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第80回 ベリー 〜花、実、紅葉、楽しみ多く〜

人気のブルーベリーの鉢植え

人気のブルーベリーの鉢植え

日差し、暑さも本格的に夏本番を迎えました。そんな暑さに負けずに、秋に向け紅葉する準備中のかわいらしい実ものを、今回はご紹介したいと思います。

6月からこの時期にかけて人気の高い実ものの1つは『ブルーベリー』です。ブルーベリーの原産はアメリカ北部ですが、今日では温帯圏で広く栽培されています。日本では1951年に中国から入ってきて、1968年から営利栽培が始まり広く親しまれるようになりました。東京都小平市・山梨県北杜市・茨城県つくば市が「日本三大ブルーベリー」の地として有名です。まさにただ今、収穫真っ盛り。

ブルーベリーにはビタミンAやE・ポリフェノールが多く含まれており、健康食品として注目を集めています。春には鐘状の、色は淡紅色や白い花を咲かせ、夏には紫青や黒の果実が成り、秋には真っ赤な紅葉が楽しめます。また収穫した実は生食の他、ジャムや焼き菓子にしても楽しめます。比較的どんな環境でも育てやすいですが、乾燥に弱いので夏場の水やりは注意をしてください。

赤い大きめの実を付ける『チェッカーベリー』も花屋の店頭では人気があります。チェッカーベリーは残念なことに食用にはなりませんが、草丈が低くこんもりと密に葉が茂り、夏に白色から淡いピンク色の壺形の花を咲かせます。実は球形で真っ赤に熟し、秋には紅葉も楽しめます。常緑で耐寒性にも強く日陰でも育つ優等生な植物です。赤い実は晩秋から春までと長い期間楽しめるので、クリスマス時期の寄せバスケットにも人気があります。

ここ数年日本でお庭のシンボルツリーとして急激に人気が出てきた『ジューンベリー』。以前よりアメリカやカナダでは街路樹や庭木として人気があったようです。 他の実ものの樹と同じく春に真っ白な小さな花が咲き、名前の通り6月に真っ赤な実を付け、秋には紅葉する四季を通じて様々な姿を楽しめるジューンベリー。実が付いている時期に庭の枝を少しだけ手折ってガラス器に入れて飾ると葉の緑と赤い実のコントラストがとてもきれいな植物です。実ものを切花として楽しむコツは、草花でなく木が多いので、水に漬かる部分に割り(切れ込み)を入れてあげることです。水を吸い上げやすくなります。       

秋に向け、今回ご紹介したもののほかにもたくさんの実ものが花屋にはお目見えしてきます。鉢植えで育ててみるのもよいですし、切花をお部屋で長く楽しむことも出来る実ものもあります。今年の秋はお気に入りの“実”を探してみませんか。

日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 谷 真由美

 コラムニスト紹介

谷 真由美
日比谷花壇 マーチャンダイジングディレクター 谷 真由美
店頭販売での長年の経験を活かし、日比谷花壇の首都圏店舗を統括する鉢物マーチャンダイジングディレクターとして活躍。花鉢や観葉植物の魅力を熟知し、お客様が求める、お客様に発見や感動を提供する商品展開を手掛ける。