連載コラム「季節を彩る花物語」

季節に合わせた花や緑の楽しみ方を紹介する、日比谷花壇の連載コラム「季節を彩る花物語」。
お家の中で花や緑を気軽に楽しむヒントを紹介したり、時には公園や路地裏に咲く花々を紹介してみたり、花や緑にまつわる歴史的な出来事から、海外での花の楽しみ方・贈り方まで、季節を感じ楽しめる花と緑の情報満載でお届けしていきます。
*このコラムは、中日新聞・東京新聞の隔週月曜夕刊で2009年1月から連載しています。

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 第38回  夏の花のあしらい 〜グリーンを活かして清涼感あるアレンジに〜

ガラス花器の内側にタニワタリをくるんと巻き入れ、モカラを活けて涼しげに

ガラス花器の内側にタニワタリをくるんと巻き入れ、モカラを活けて涼しげに

今年の夏の暑さは大変に厳しく、8月後半になっても残暑の毎日が続いています。こんな時こそ涼しげな話題で、束の間の涼をお届けしたいと思います。

暑い時期、花屋の店頭でお客様と接するとき、必ずといってよいほど「花保ちが悪くて、花は買いたくないのよね…」といった話を伺います。この言葉の裏には「…でも好きな花こそ季節を問わず飾りたい」といった暮らしのこだわり、自宅にお客様をお迎えする際の季節感溢れるおもてなしへの心遣い、愛する亡き家族への弔いの気持ち等が隠れています。こうした声から、お客様が、花が本来備えている「癒し」の力を求めていることを感じます。

花を飾るのに花保ちが心配な場合、花を飾ることにとらわれず葉物(グリーン)を使うことをお勧めします。ガラスの花器や皿などにきれいな水をはり、そこにグリーンをあしらうだけでも、涼しげで素敵な空間ができあがります。その中にはビー球やおはじき、きれいな色の小石や貝殻など、清涼感を感じるアイテムを水の中に沈ませて涼やかな花止めを。アイビー、オリズルランなどの身近にある観葉植物を使えば、簡単にできあがります。

また、ハランやニューサイラン、モンステラやヤツデの葉などで、大きめのガラス花器の内側に模様を描くように水中に絡めても素敵です。多くの植物の場合、葉が水に浸かると水の濁りの原因となりお勧めできないのですが、これらのグリーンはその心配もほとんどないので試してみてください。他にも適した葉物がありますのでぜひ花屋で聞いてみましょう。

現在私のいる日比谷公園のお店では、花保ちの良い花として「モカラ」をはじめとするラン類の花をお勧めしています。ラン類は葉物との相性も抜群に良く、季節感を活かした素敵なあしらいが出来ます。そろそろ秋が恋しくなる季節、落ち着いた秋色のモカラを中心に、暮らしに癒しを求めて季節の花を飾ってみませんか。

 

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 コラムニスト紹介

渡辺 潤
日比谷花壇  日比谷公園店  フラワーコンシェルジュ
約20年にわたり、日比谷花壇の店舗でフラワーコーディネーターとして活躍。 様々な花や緑の魅力を熟知し、お客様が求める商品を案内するとともに、花に託して贈るお客様の“気持ち”や“ご意向”をくみ取り、最適な提案を行う、花のコンシェルジュ。 花がもたらす喜びや感動をお客様と共有し、花を贈る人、贈られる人に期待以上の満足を得ていただきたいと、「ヒビヤカダン 日比谷公園店」でお客様をお迎えしている。